人間の存在と社会ならびにそれらの発達を、教育との関係において、 多面的・多角的、統合的に理解することを目的に研究を行っています。 教育の現象を論じる本学系ならではの特徴である、多様なテーマと観点のもと、 諸問題に理論的かつ実践的にアプローチし、体系的な知の創造に向けた模索と挑戦を重ねています。
研究テーマ:幼稚園の集まり場面における子どもと保育者の相互行為の研究
氏 名:保木井 啓史
内 容:
本研究は、保育者(幼稚園教諭など)が行う保育実践の視点で描かれがちな保育場面の出来事を、
子どもたちも園生活の中で「実践」を繰り広げるという視点を交えて描き出すものです。
クラスの子ども全員と担任保育者が集まって行われる「集まり場面」を対象に、そこでの保育活動の
微細な変化に、子どもたちがどのように関与しているかを検討しました。子どもたちは、保育活動に
対する些細な「ずらし」の積み重ねによって、集まり場面の中に新たな行動を産み出していました(図1)。
また、保育者が、その産み出された行動を「取り込む」ことが、保育活動の変化につながっていました。
そして、変化した保育活動は子どもによるさらなる「ずらし」の対象になりました(図2)。
専ら保育者が主導しているように見える保育活動でさえ、そこでの出来事を創造的に取り扱う
子どもたちの「実践」と、保育者の保育実践との絡み合いの中で成立していることが分かります。
「園生活の中で子どもは何をなしうるのか」を知ることで、「それを尊重した保育はどのような
ものか」を問うことも可能になります。その問いへ目を向けさせるのが、子どもたちの「実践」
という発想であると考えています。
図1.手で虹を描く動作の流れで隣の子どもの顔を触って遊ぶ
「魔法が使えたら何をしたい?」という話題で、1人の子が「虹に登りたい」と答える(元の活動)と、周囲で「俺、このあいだ虹見た」などと声が上がるとともに、手で虹を描く動作が波及する(「ずらし」)。その動作がさらに、隣の子どもを遊びに誘うために利用される(新たな行動の産み出し)。
図2.踊り出す
クイズ出題役の子どもが、自分の好きな歌を当てさせる(元の活動)。1人の子が担任保育者へも回答を促すと(「ずらし」)、担任保育者は、『サウスポー』と言って子どもの笑いをとる(「取り込み」)。別の子がすかさず、かつてピンクレディーに扮した保育者が見せてくれた踊りをやり始め、向かいの子どもへ目線を送る(さらなる「ずらし」)。
氏 名 | 所 属 | 研 究 分 野 | |
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天野 和彦 | 人間発達文化学類 | 社会教育/生涯学習 | |
植田 啓嗣 | 人間発達文化学類 | 教育学/比較教育学/教育政策 | |
小川 裕 | 人間発達文化学類 | 音楽科教育学 | |
大橋 淳子 | 人間発達文化学類 | 学校経営/学校心理学 | |
角間 陽子 | 人間発達文化学類 | 生活経営学/家庭科教育学 | |
神山 真由 | 人間発達文化学類 | 教育行政学 | |
小檜山 宗浩 | 人間発達文化学類 | 特別支援教育 | |
齋藤 美智子 | 人間発達文化学類 | 保護者支援/保育内容 | |
坂本 篤史 | 人間発達文化学類 | 授業研究/教師論 | |
佐藤 玲子 | 人間発達文化学類 | 住生活学/住環境学 | |
鈴木 昭夫 | 人間発達文化学類 | 中学校理科教育 | |
高橋 純一 | 人間発達文化学類 | 障害児教育学/教育心理学 | |
谷 雅泰 | 人間発達文化学類 | 教育学 | |
千葉 桂子 | 人間発達文化学類 | 被服学 | |
中村 恵子 | 人間発達文化学類 | 食物学 | |
鳴川 哲也 | 人間発達文化学類 | 理科教育 | |
野木 勝弘 | 人間発達文化学類 | 社会科教育 | |
保木井 啓史 | 人間発達文化学類 | 幼児教育学 | |
宮武 泰 | 人間発達文化学類 | 道徳教育 | |
村上 正義 | 人間発達文化学類 | 小学校理科教育 | |
森本 明 | 人間発達文化学類 | 算数教育/数学教育 | |
柳沼 哲 | 人間発達文化学類 | 特別支援教育 | |
渡邊 健順 | 人間発達文化学類 | 社会科教育 | |
宗形 潤子 | 人間発達文化学類附属学校臨床支援センター | 教育方法学/教育実践学(授業論、生活科) | |
高野 孝男 | 人間発達文化学類附属学校臨床支援センター | 特別活動/道徳 | |
真歩仁 しょうん | 行政政策学類 | 英語教育 | |
岡田 努 | 共生システム理工学類 | 科学史/科学コミュニケーション論 | |
高森 智嗣 | 教育推進機構 | 高等教育論/大学評価論 | |
前川 直哉 | 教育推進機構 | 教育学・社会学・ジェンダー/セクシュアリティ |